石井菜穂子氏、GEFのCEO兼評議会議長に就任

イノベーションとインクルージョンがGEFの新たなリーダーシップの核心

ワシントン、2012年8月1日―石井菜穂子氏が、本日、世界最大の公的環境プロジェクト資金供与機関である地球環境ファシリティ(GEF)の最高執行責任者(CEO)兼評議会議長に就任した。GEFの評議会は6月、CEOとしての2期目を7月に満了したモニーク・バルビュー氏の後任として、日本の財務省副財務官である石井氏を満場一致で選出していた。
石井氏は、「私は、GEFがまさに、グローバルな環境コミュニティの『サイレントパートナー』から、より積極的に発言する機関への転換期に就任することになります。GEFには、21年にわたる地球規模の環境問題に対応するプロジェクトの蓄積があり、革新的なプロジェクト活動を通じて得た経験や知識の共有を行い、国際公共財の保全に向けたパートナーの協力体制の強化に関わっていきます」と述べている。

石井氏は、GEFは、革新者、チャンピオン、および選ばれるパートナーとして環境問題への対応をリードし続けるとともに、環境ファイナンスの発展を促す触媒としての役割を担うべきであると述べた。さらにGEFは、これからの時代に必要な著しい変化をもたらす組織として、特別な役割がある、と付け加えた。

「GEFは、これまですばらしい実績を確立してきました。しかし、世界はまだ持続不可能な道をたどり続けており、地球規模の環境問題に対応するための新たな方法を必要としています。各国政府、国際的なパートナー、民間セクター、市民社会団体などと、信頼を置ける、そして成果の上がるパートナーシップを構築することが重要な急務です」と語る。

石井氏は、各国の財務大臣と環境大臣がお互いに話し合い、政策立案のあらゆるレベルに必ず環境問題への対処策を組み入れるようにする必要があると強調した。「私は、人々が力を合わせて環境問題に取り組むように注力します。市民もまた、地球環境の劣化に対処するために、それぞれの役割を果たす必要があります」と述べた。

石井氏は、「私の目標は、GEFのプロジェクトやプログラムが現場で最大限の効果を出せるよう、GEFのパートナーの協力体制の『全体が部分の総和に勝る』ようにすることです。私たちは、まだその段階には達していません。今こそ、地球および地方規模の連携を通じて、共同の取り組みをスケールアップしながら持続可能な結果を達成するときです」と話している。

GEFの新CEO兼評議会議長に就任した石井菜穂子氏について

石井氏は、GEFの第4代CEO兼評議会議長就任以前は、財務省副財務官として、日本の開発金融政策や、気候変動、生物多様性などの地球環境問題を担当した。また、緑の気候基金の制度設計を行う移行委員会では、日本代表団のトップも務めた。石井氏は、1981年に大蔵省入省以来、国際的な分野、特に開発問題に携わり、2004-2006年に財務省大臣官房参事官(二国間開発金融担当)、2002-2004年に財務省国際局開発機関課長を歴任。

石井氏は、キャリアのほぼ半分を通じて、世界銀行や国際通貨基金を含め、海外で職務を遂行してきた。世界銀行では、スリランカ・モルディブ担当局長(2006―2010年)を務めた。コロンボ駐在中には、四半世紀に及ぶ内戦下のスリランカにおける世界銀行の同国向けプログラムの運営にあたり、主要なステークホルダーとパートナーシップを構築した。また、世界銀行ベトナム担当調整官(1997―2001年)、ハーバード大学国際開発研究所プロジェクトマネージャー(1996―1997年)、国際通貨基金エコノミスト(1992―1995年)、ハーバード大学国際問題研究所研究員(1984―1985年)なども経験。
慶応大学では、持続可能な開発と環境についての講義も担当。「長期経済発展の実証分析:成長メカニズムを機能させる制度は何か」等、多数の著書や論文を執筆し、サントリー学芸賞(1990年)および国際開発研究 大来賞(2004年)を受賞。2006年、第1回円城寺次郎記念賞受賞。東京大学 経済学部卒業、国際協力学博士。

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